2023年01月31日
ウクライナの戦訓
自衛隊多連装ロケットM270 MLRS
露ウクライナ戦争では多数の戦車やヘリがロケット兵器により撃滅されている。ロシアが1週間もすれば勝利を得ると目論んだ戦争は1年にもなろうとしています。
独ソ戦に勝利したソ連・ロシアはその勝利体験から70年余りに渡って、戦車を発展させて、その大量運用を要としてきた。 そのドクトリンをウクライナは戦車に対しての携行対戦車兵器により頓挫させることが出来た。 同じく、ウクライナは対戦車攻撃武装ヘリや航空機をステインガーなどの携帯対空ミサイルで撃墜し、自国の制空権を確保した。 ウクライナはロシアの培ってきた戦略・戦術を打ち砕いたと云えよう。
成功体験は次の敗戦の伏線になるようだ。 他所事ではなく、日本でも日露戦争の勝利が、陸軍の白兵戦主義や海軍の大艦巨砲主義で米国に臨み敗れた。時間を経て他者の失敗を述べるのは簡単でしょう。すでに結果が判明した後のことであるから。
現場からの情報を精査して、これまでのドクトリンを変更できる柔軟な思考の出来る指導者が大事だと云えるのでしょう。 旧軍の幼年学校からの士官や現在・自衛隊の防大からの士官の昇進の優遇をすることは、狭い専門家からの知見を採ることになり、大事とされる柔軟な思考をもつ士官の意見を採用されないことになる。 どちらかが大事ということでは無いのかもしれない、ベストミックスが大事と云うことなのでしょう。 それが出来る優れて偉大なリーダーを育て持ちたいものです。
自衛隊では攻撃ヘリとMLRSを廃棄する報道があります。 その理由は、自衛隊のアパッチヘリはウクライナのような大平原の遮蔽物のない空では大きな損失を被り、MLRSはクラスター爆弾禁止条約の影響です。 日本のような山の多い地域では、まだアパッチは使えるし、MLRSはウクライナで活躍しているハイマースのようにGPS誘導のミサイルにすれば有効に使用できる、どちらも廃棄するにはモッタイナイです。
つまらない事務的な制約で、まだ使える兵器を廃棄するのではなく、一時保管しておく制度の創設も必要となります。 自衛艦で退役となる艦艇は白く色を塗り替えるだけで巡視船に使用できます。少人数化の改装をするだけで良いと思います。 ドイツのゲパルト対空戦車は退役して保管されていましたがウクライナに供与され武装ヘリやドローン攻撃に役立っています、目先にとらわれてはイケナイ。 ロシアではT62のような昭和の時代の戦車を再登場させています。 戦車が不要なのではなく、奪還作戦では必要とされています。昨日にはウクライナが熱望していたレオポルド戦車の供与が決まりました。 柔軟な思考が要求されるのでしょうね。
ロシア軍大誤算:戦車キラーの攻撃ヘリが全く活躍できない
https://news.yahoo.co.jp/articles/0de8a255048ea037ae2263b50906c59612026a6f
2023-1-31
船中発策 軍事安全保障 http://hayame.net/custom6.html